解体予定の箇所を解体し、後は壁を作って閉じるだけだから、簡単ではないのか?と思われるかもしれませんが、長屋の解体工事は非常にトラブルの多い案件に入ります。
基本として、長屋所有者全員の同意を得るという行程が加わりますが、もしこれを同意を得ずに工事を始めてしまった場合、法律違反となり罰則がかかるのです。
そのため、トラブルを事前に避けるよう動く必要があるのです。
トラブル例
- ・一度は同意を得ていたが、後日解体を反対された
- ・誰も解体に同意をしてくれない
- ・構造上、切り離しが難しい
- ・最後に作る壁が、元あった素材と適合せず、補修ができない
- ・解体中や解体後に、騒音や振動、補修の仕上げなどに関して苦情が来た
同意関連は長屋トラブルとしては非常に多く、所有者間の関係性に大きく起因してきます。
切り離しが難しいケースはあまり頻発するものではありませんが、土地の構造や物理的な問題が発生した場合、別の代替案を選ぶ余地が起きることがあります。
最後のケースは、解体としてどの案件に関してもこりうるものですが、建物自体が続いているため、どうしても影響は大きく受けます。
また、長屋は長屋の形として耐震設計などがなされて完成状態となっているため、切り離しを行うとどうしても耐震性は落ちます。最後に壁の補修と補強は行いますが、安価なものを優先した場合、様々な問題が後ほど発生します。
例えば、トタンを選択した場合は保湿性や気密性、また薄いので周囲の音も工事中には気になりますし、工事後も周りの外気音(車の音など)に悩まされる事態も少なくはありません。
屋根も切り離しを行いますが防水対策をしっかり施さないと、切り離したところから雨漏りが発生し、長屋全体の寿命にも影響されます。
トラブルを回避するために
このようなトラブルをなるべく避けるためには、対策を講じなければいけません。
まず、同意を得るために所有者に解体の説明を丁寧に行うことです。事前調査を行い、家自体の問題箇所やその他の要項を抑えて交渉材料として加えておけば、後々のクレームに関しても説明をしっかり行っていれば、対処しやすくなります。
長屋に関しては解体依頼人以外の住居でも有るため、後々に交流が続くことを考えると、円満解決が目標です。後からの説明や、他の所有者の配慮不足などが起こらないように、対応関連移管してはしっかりと行き届きたいものです。